総領事挨拶
(着任3周年を迎えて)
皆さま,こんにちは。在上海日本国総領事の片山和之です。2015年8月22日に赴任してから,3年が経過しました。3年間上海で生活する中で,これまで当地で築いてきた人間関係は益々深まり,大切な出会いを重ねてきました。そして,幸いなことにこの3年間で日中関係も大きく改善しました。
日中平和友好条約が締結され,中国の改革開放政策が開始された40年前の1978年,在留邦人数は,中国全体で4933名(登録ベース)でありましたが,昨年10月現在ではその数約12万4千人となっています。また,中国の日系企業拠点数は約3万2千にまで増加し,日中貿易額は40年前の約51億米ドルから,約3,293億米ドルへ約65倍に拡大しました。
人の交流も顕著に増加しています。40年前の日中間の往来数は年間約3万5千人でしたが,現在では約1000万人に及んでいます。また,日本に滞在する中国人は73万1千人,そのうち中国人留学生は約12万4千人と,日本に滞在する中国人は全体の外国人の約28.5%を占めています。このように,この40年間,日中両国の交流があらゆる分野で深まってきたことが分かります。外務省入省以来,35年の間,中国に関わり続けてきた一人の外交官として,私自身深い感慨を禁じ得ません。
当館は,そのような多岐にわたる日中交流の最先端に位置しています。当館管轄地域(上海市,江蘇省,浙江省,安徽省,江西省)には,日本の対中投資の81%(2016年),対中貿易の44%(2016年),中国在留邦人の46%(2017年),在日系企業拠点の69%(2017年)が集中し,当館が2017年に発給したビザ件数は185万件に及んでおり,これは日本の全在外公館の総発給件数の約3分の1にあたります。
過去3年間で中国国内外のメディアから48回のインタビューを受け,日本政府そして在上海日本総領事としての立場を国内外に発信してきました。また,心と心の交流を重視し,懇談を通して当地の文化や経済関係者と直接交流し,生の声をお聞きするとともに,私からも,日本の現状や魅力を発信しました。過去3年間に,公邸での懇談662件,地方出張82件,企業支援2187件,日系企業・商工クラブ関係者との意見交換718件,大学訪問30件,日本人学校・補習校関連行事出席39件に及びます。
また,様々な日本関連イベントを主催し,日本の文化を伝えるとともに,日本の魅力を発信してきました。いまでは初めての方々とともに多くのリピーターの方々がイベントに参加してくださっております。これからもより多くの中国の方々が文化交流や訪日を通して等身大の日本の姿を見て,日本に対する理解を深めて頂けたらと思います。
日中平和友好条約締結40周年,中国の改革開放40周年という本年,李克強総理は中国国務院総理として8年ぶりに公式に日本を訪問されました。その際,李総理は,両国関係は正常な軌道に戻ったと述べられ,安倍総理の年内訪中を正式に招請されました。安倍総理の訪中が近く実現し,習近平国家主席の訪日が実現し,日中関係がさらに強固になることを強く期待しております。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え,中国の方々により深く日本を理解して頂き,中国国内において日本を身近に感じられるような人的交流,文化交流に力を注ぎたいと思っております。
また,総領事館の最重要任務とも言うべき在留邦人保護や日系企業支援について,「敷居の低い,頼りになる」総領事館として,困ったことがあれば気軽に相談ができる総領事館として引き続き力を尽くして参ります。
安倍総理は李克強総理と会談した際,本年を日中関係の新たなスタートとなる年とし,日中関係を新たな段階に押し上げていきたい旨述べられております。私としても,両国民の相互交流,相互信頼を一層促進するよう,館員一同,精一杯尽力して参りますので,これからも日中皆様方のご支援をお願い致します。
平成30年8月22日
在上海日本国総領事
片山和之