磯俣総領事(大使)の挨拶(2020年秋:令和2年10月15日)
令和2年10月15日
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創意工夫で交流推進 |
~「視聴世代」のオンライン国民交流に期待~ |
中国では国慶節の大型連休も終わり、今年もあと残すところ2ヶ月強となりました。世界各地でなお新型コロナウイルスとの戦いが続く中で、効果的な感染予防対策と両立する形でいかに社会経済活動の回復を進めていくかが、引き続き全世界的な課題となっています。
9月25日に日本の新型コロナウイルス感染症対策本部において行われた決定を受け、在留資格認定証明書を所持されている方などに対する新規査証申請の受付を開始するなど、国際的な人の往来の再開に向けた措置が徐々に拡大しつつありますが、全面的な往来再開に至るには、今しばらくの時間が必要と思われます。日系企業の方々を含め在留邦人の皆様方におかれては、大変なご不便や大きな困難を引き続き抱えておられる中で、さまざまな課題に前向きに取り組んでおられることに改めて敬意を表したいと思います。
人的往来にこうした大きな制約がある中でも、日中間の国民交流を続けていくことは、両国民間の絆を将来に向かって健全で強固なものにしていく上で、非常に重要なことと考えます。最近は、オンラインで両国間の人的・文化交流を進めるイベントが進められています。例えば、8月には、当館も協力する形で日本の洗足学園音楽大学が主催するアフレコ大会「目指せ!電脳アフレコ王」(本選)がオンラインで開催されました。予選を通過した中国各地の高校生ら40人が、日本のアニメの吹き替え等で本物の声優に迫るような非常に高いレベルの技能を競い合い、日本のプロの方々が審査するというイベントで、最高4,000人の同時視聴者が記録されました。また、日中韓三ヶ国の国際交流団体の共催で、福岡、上海、釜山の三ヶ所の会場をオンラインでつないで三ヶ国の子供たちによる「みんなで応援、みんなで頑張ろう」をテーマとした児童友好絵画展(1万人以上の子供による応募作品から専門審査員により約300点の優秀作品を選出)を行うといったイベント等も実施されています。
ある調査によれば、2025年には、いわゆるZ世代(1990年代半ばから2000年代初めに生まれた世代)がアジア太平洋地域の人口の4分の1を占めると言われており、これらの若者は生まれた時からインターネットや携帯電話が生活の基礎用具となっており、「視聴世代」とも言われています。こうした世代は、オンライン交流をとても自然に受け入れ、自らも積極的に加わっていく潜在性が非常に高いと思います。また、今年発表された国際交流基金の調査によれば、日本語学習者が特に中国の華東地域で急増しており、近年の訪日旅行者の急増とも相まって、若い世代の中国人の日本に対する関心は更に高まっていくと思われます。日本の若い世代について「内向き」と言われることもありますが、OECD等の統計によれば、過去数年の日本人の海外留学者数はやや増加の兆しも見せており、中国は米国に次ぐ留学先になっています。人的往来等の制約はあっても、上述のアフレコ大会に見られるように、創意工夫で可能な交流は色々とあり、創造的な取組を柔軟な発想で進めていければと思います。
上海及び華東地域は、日中交流の中心的な舞台であり、大きな窓口です。目下の厳しい状況の中で、またウィズコロナという新たな状況の中で、今は可能な交流を地道に続け、前進していきたいと思います。日本総領事館としましても、協力できることがあれば皆さまと一緒になって取組を進めたく、良き提案や企画があればお声がけを頂ければ幸いです。
来たる曙の光を望み見ながら、共に頑張っていきたいと思います!
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