磯俣総領事(大使)の挨拶(2019年夏:令和元年7月10日)

令和元年7月10日


 

 昨年来、各分野での日中協力が益々勢いづく中で、華東地域での文化事業を通じた日中交流を当館では次々と実施し、また支援しています。例えばここ二、三ヶ月では、4月に、今夏の上海での公演を控えてコブクロのお二方が来海し、当館でも日本語を学ぶ中国の学生等を招いて交流会やミニコンサートを行いました。5月には、南京芸術学院の卒業イベントの機会に、当館主催の日本文化紹介イベントとして、き乃はちさんによる尺八演奏会、GABEZのHITOSHIさんによるパントマイム公演等を行いました。6月には、華道・池坊上海支部設立10周年記念行事に第四十五世お家元の池坊専永宗匠がお越しになり、お家元ご自身によるデモンストレーションも行われました。また、能楽団・大西松久会の方々も、初の海外公演として6月下旬に来海され、上海日本人学校、当館などで能楽の解説や小公演を行っています。
 
 これらは、いくつかの例を挙げたに過ぎませんが、華東地域の中国人の皆さんの日本文化に対する関心の高さには、いつも驚かされます。また、若い中国の人たちが、日本の最新のアーティストや文化コンテンツのみならず、侘び寂びや禅などの日本の精神文化にも相通ずる池坊のいけばなや,日本の代表的な古典芸能の一つである能楽にも大きな関心を有していることは、日中両国民間の交流の幅広さと深さを示すもので、今後国民交流を一層促進していく上で、とても心強く感じた次第です。時新たに令和の時代に入りましたが、日中青少年交流推進年である今年の後半も、交流活動を更に力強く進めていきたく、皆様のご支援をお願いいたします。
   
 6月下旬のG20大阪サミットの機会に行われた日中首脳会談では、安倍総理と習近平国家主席の間で、正常な軌道に戻った日中関係が新たな発展を得つつあることが改めて確認されるとともに、「日中新時代」を切り開いていくとの決意が示され、来年春の習主席の国賓としての訪日についても原則一致をみています。また、国際スタンダードの下で、「競争から協調へ」の精神に則って、イノベーション及び知的財産権保護、貿易・投資、金融・証券、医療・介護、省エネ・環境、観光交流等の分野での互恵的な実務協力を強化していくことや、修学旅行の相互誘致を含め、国民交流、特に両国の将来を担う若い世代の双方向の交流を通じて相互理解を増進していくことも確認されています。引き続き、華東地域でも経済、国民交流等幅広い分野で、具体的な協力の実を上げていきたいと思います。
   
 過去約3ヶ月の私自身の管轄区域内の在留邦人の方々との接触につきましては、4月には、江西省に出張して企業の方々からお話を伺い、5月に上海で開催された華東地域日商倶楽部懇談会の際に改めて皆様方のお話を広く伺う機会がありました。また、5月から6月にかけては、江蘇省の常熟市・昆山市・丹陽市、浙江省の嘉興市・平湖市等に出張して、日系企業の皆様と交流する機会も得て、現地の事業環境等につき意見交換させていただきました。上述の日中首脳会談においても、日中相互の企業に対して、公平、非差別かつ予測可能性のあるビジネス環境を提供することが確認されています。引き続き、日系企業及び在留邦人の皆様のお話を伺いつつ、安全確保や円滑な事業活動支援に取り組んで参りますので、よろしくご支援・ご協力のほどお願いします。