磯俣総領事(大使)の挨拶(2020年夏:令和2年7月10日)
令和2年7月10日

「4つのCH」戦略(ChallengeをChanceに変える上で、
CharmingなChinaを意識)と日本のソフトパワーを活用しよう!
新型コロナウイルスは、引き続き世界のあちこちで猛威を振るっています。日本や中国でも一部の地域では感染が再発しており、気を許すことのできない状況が続いています。そのような中で、感染対策を十分に講じつつ、いかに生産活動を再開させ、日常生活を取り戻していくかが我々が直面する大きな課題となっていますが、先ずは、こうした厳しい現実に果敢に対処しておられる皆様に敬意を表したいと思います。最近上海、江蘇省、浙江省で事業を行っている日系企業を訪問させて頂く機会がありましたが、種々の困難に直面しつつも中国で事業を粘り強く、力強く展開しておられる方々の姿を拝見し、私自身大きく元気付けられました。
今回の新型コロナウイルス感染症への中国での対応については、検疫、隔離等の措置で多くの方々がご苦労をされましたが、中国がAIやビッグテータ等のIT技術を最大限に活用し、厳格な措置と徹底的な管理を以って国を挙げて効果的に対処したことは、中国の内外で大きな注目を集めました。このような状況は、中国国内でも、また中国と諸外国との関係にも様々なインパクトをもたらしていますが、日中関係の重要性自体には何ら根本的な変更はありません。むしろ日本として、新型コロナにより生み出された新たな状況に対し、いかに中国と向き合い、一層効果的に対処して危機を乗り越え、自らの更なる発展につなげるとともに世界に貢献できるかについて、改めて考える重要な契機になったと思います。
最近私は、「4つのCH」戦略という表現で、これからの日本の取組みについての考え方を当地の日本の方々にお伝えしています。それは、「ChallengeをChanceに変える上で、CharmingなChinaを意識する」というものです。新型コロナ対応の常態化及び新型コロナがもたらした社会・経済情勢の変化は巨大な挑戦・課題(Challenge)であるが、それを我々にとっての新たな機会(Chance)へと転換する上で、魅力的(Charming)な中国(China)を上手く捉えていくことを意識すべきとの考えです。この未曾有の事態によってもたらされた状況は、日本にとって、その知恵と技術で新たな価値を創造し、自らを更に強靭にして世界に一層の貢献を行っていく機会であり、そうした機会に臨んで、様々な創造的取組・試みを許容する壮大な舞台であるとともに巨大な購買力を有する現実の市場であるという魅力を兼ね備えた中国との関係を最大限活用すべきと信じます。
他方で、別の視点から日中関係の将来の可能性を見たとき、近年中国から日本を訪れる旅客が大変な勢いで急増しており、中国の人々、特に若い世代の中国人の日本への関心が年を追って増大していることにも着目すべきと考えます。ポスト・コロナ又はウィズ・コロナという新たな情勢の下で、文化やライフスタイルを含む日本の魅力というソフトパワーは、日中関係において、今後ますますその価値が高まっていくと思います。そして、これが互いに相手の魅力を一層強く認識し、活用していく良き契機となることを願っています。
日本と中国との間の人的往来が元通りになるには今しばらくの時間がかかりそうですが、今後の日中交流の更なる発展という大きな潮流に沿って、日中経済・文化交流の最前線であるこの華東地域において、先ずは当地でできることから一歩一歩進めていきたいと思います。今月は、当地の日系旅行会社による「がんばろう上海!」というツアー企画があり、日本総領事館も応援しています。私自身も参加させて頂く予定です。厳しい状況の中、関連する業界及び官民が連携して、オールジャパンで機運を盛り上げ、危機を乗り切っていきたいと思います。
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