1.上海市、江蘇省、浙江省の政府は、20日、鳥インフルエンザA(H7N9)の新たな感染例を計5例確認し、治療中だった感染者1名が死亡したこと等を発表しました。感染例等に関するそれぞれの発表の内容は以下のとおりです。
(1)上海市発表
(ア)女性、李某、75歳。13日、咳、息切れ等の症状があり、自分で薬を服用するも回復せず。18日、第六人民医院で受診し、肺炎と診断され入院。19日、鳥インフルエンザA(H7N9)の感染陽性を確認、その後診断が確定。現在病状は安定しており、治療中。濃厚接触者は15人であり、現在までに異常は見られない。
(イ)現在上海市では17名の患者が隔離治療を行っており、計5名の患者が回復し、退院した。
(2)江蘇省発表
男性、張某、43歳、南京市玄武区在住。20日、鳥インフルエンザA(H7N9)の感染を確認。現在、南京某医院にて治療中、重体。濃厚接触者は23名であり、現在までに異常は見られない。
(3)浙江省発表
(ア)20日までに下記3名の感染を新たに確認した。いずれも鳥インフルエンザA(H7N9)の感染陽性を確認、その後診断が確定。現在、いずれの患者も病状は重く、杭州市の某医院にて治療中。
(a)男性、汪某、56歳、杭州市在住、農民。11日発病。
(b)女性、甘某、35歳、杭州市在住、労働者。14日発病。
(c)男性、孫某、37歳、杭州市在住、運転手。3月30日発病、4月18日に初診を受けるまでの期間は、自分で薬を購入、服用。
(イ)18日に感染診断が確定し、重体だった徐某(男性、69歳、退職、杭州市在住)は、病状が悪化し、治療の甲斐なく19日晩に死亡した。(当館注:右男性の感染については、19日付の当館の「鳥インフルエンザ関連情報(第21報)」もご参照願います。)
2.中国政府の鳥インフルエンザA(H7N9)への対応に関し、中国の報道は20日、以下の通り報じています。
(1)ここ数日間、上海市での野鳥サンプルの収集に続き、国家林業局が再度専門家チームを組織し、北京、浙江、江蘇、安徽等の重点地区に派遣し、鳥インフルエンザA(H7N9)の根源およびサンプルの採取を行った。
(2)今回採取を行った1300のサンプルについて、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの検査を終えた861のサンプルは、すべて陰性であり、残りのサンプルは現在分析中である。
3.19日に南京市政府がこれまでの感染例等について行った記者会見について、20日の中国メディアは下記の通り報じています。
(1)18日に感染診断が確定した王某(女性、26歳、南京市玄武区在住)は、発熱を伴うインフルエンザ症状が発生してから、たった4日で回復した。南京市衛生局の許民生副局長は、当該患者は抗ウイルス治療を行っておらず、回復した正確な原因は分からないが、年齢および治療のタイミングと一定の関係がある可能性があると述べた。(当館注:右女性の感染については19日付の当館の「鳥インフルエンザ関連情報(第21報)」もご参照願います)。
(2)19日までに、南京市では9例の感染診断が確定しており、市外からも3名の患者を受け入れた。そのうち1名は症状が軽く、問診治療の結果、4日で回復し(上記(1)参照)、2名は死亡した(安徽籍1例、南京籍1例)。現在、南京市では8名が入院しており、1名は病状が比較的重く、7名は重体である。
(3)鼓楼医院では4名、南京市第二医院では2名が治療中であり、一部の患者の呼吸機能には改善が見られる。
4.これにより、鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者数は、上海市、安徽省、江蘇省、浙江省、北京市、河南省の2市4省の計97名(上海33名、安徽3名、江蘇23名、浙江33名、北京2名、河南3名)となり、そのうち、死者は18名(上海11名、安徽1名、江蘇3名、浙江3名)となりました。
※上記感染者数には、臨床症状がなかった北京市の男児の感染例1例が含まれています。
5.かかる状況を受けて、在留邦人の方におかれては、以下の諸点にご注意願います。また、労働節期間中の旅行に関しては、17日付の「鳥インフルエンザ関連情報(第19報)(労働節期間中の旅行についての注意喚起)」もご参照願います。
(1)発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。医療機関受診の際の注意点等については、3日付で当館ホームページに掲載した「鳥インフルエンザ関連情報<国立感染症研究所の解析結果及び医療機関受診の際の注意など>」(http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/life/new130403-2.html)も御参照下さい。
(2)不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、手洗い、うがい等を励行し、衛生管理に十分注意してください。また、十分な栄養、睡眠をとり、平素からの体調管理に気をつけてください。
(3)外出する場合には、人混みはできるだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。
(4)その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。(http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/influ_qa.html)
6.当館では新たな情報が得られ次第、当館ホームページ等でお知らせします。
(参考ホームページ等)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2850
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)http://www.forth.go.jp
○高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
○Avian influenza(世界保健機関(WHO))
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/
○国際獣疫事務局(OIE)
http://www.oie.int/eng/en_index.htm