1.当館より累次お伝えしているとおり、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染例については、中国国内において、感染数及び感染地域が拡大を続けています。
2.中国当局及びWHO(世界保健機関)によれば、現時点では、ヒト―ヒト感染を示す証拠は確認されていないとしています。WHOは、13日に発表したリスク評価レポートにおいて、継続的なヒト-ヒト感染は確認されておらず、旅行制限等の対応は推奨しないとしています。なお、上海市で夫婦が感染した件(当館注:右夫婦の感染については、14日付の当館の「鳥インフルエンザ関連情報(第15報)」もご参照願います)については、上海市衛生当局は、13日付の発表において、「現在得られている情報から見る限りでは、当該夫婦の夫の発病が妻からの伝染によると判断するには材料が不足している」としています。
3.一方、WHOは、上記レポートにおいて、ウイルスの遺伝子変異による哺乳類への適応が今後も起こることを懸念するとしています。また、中国疾病予防コントロールセンター(中国CDC)や上海公共衛生臨床中心(当館注:上海における鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒト感染の指定治療医療機関)等の専門家達が11日に米国の医学誌(オンライン版)に発表したレポート(当館注:同レポートは中国CDC等、中国の公的見解を必ずしも代表するものではなく、専門家個人の見解であると付記されています)では、「H7型ウイルスのヒト-ヒト感染は限定的ながら03年のオランダのケースでも確認されていることもあり、今般のウイルスが流行を引き起こす潜在性を軽視してはならない」とされ、同レポートを紹介する12日付の中国疾病予防コントロールセンターの発表でも、「最も重要なことは、インフルエンザウイルスは非常に容易に突然変異を起こすので、今回のウイルスの進化の状況に注意する必要があり、特にヒト-ヒト感染の可能性について厳重なモニタリングを行う必要がある」とされています。
4.かかる状況を受けて、在留邦人の方におかれては、労働節期間中等の中国国内旅行を計画・実施するに当たっては、以下の諸点にご注意願います。
(1)鳥インフルエンザA(H7N9)の中国国内の感染発生状況について、最新の情報を入手するよう心がけ、必要に応じ目的地の変更など旅行計画の見直しなどを行ってください。また、旅行先の医療事情について、事前の情報収集を心がけてください。
(2)旅行先では、不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、手洗い、うがい等を励行し、衛生管理に十分注意してください。十分な栄養、睡眠をとり、体調管理に特に気をつけるとともに、人混みはできるだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。
(3)万一、旅行中に発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。医療機関受診の際の注意点等については、3日付で当館ホームページに掲載した「鳥インフルエンザ関連情報<国立感染症研究所の解析結果及び医療機関受診の際の注意など>」も御参照下さい。
(4)その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。
5.当館では新たな情報が得られ次第、当館ホームページ等でお知らせします。
(参考ホームページ等)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2850
○外務省海外安全相談センター
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)http://www.forth.go.jp
○高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
○Avian influenza(世界保健機関(WHO))
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/
○国際獣疫事務局(OIE)
http://www.oie.int/eng/en_index.htm