8日に発表された上海市のSARS関係通告につきましては、在留邦人の方から、その解釈、運用につき当館に対して様々なご質問を頂いておりますが、上海市の関係部門等に問い合わせた結果等をご参考までに以下の通り取りまとめました。なお、20日に行われた韓正市長の当地領事団への説明会において、近日中に通告の見直しが行われる旨の予告がありましたところ、発表され次第お知らせいたします。
1. SARS感染患者発生地域について
(1)中国国内については、衛生部が発表する確定患者発生地域(中国語で「発生臨床診断病例地区」。19日現在、上海市、江蘇省、浙江省、安キ省等を含む24の省・市・自治区)を基準とする。しかしながら、省の中でも患者発生が数カ所の市又は地域に限定されていることが多いので、実際の運用上、医療観察の重点対象となるのは、衛生部の発表にいう重点的な感染患者発生の省・市・自治区(19日現在、北京、広東、山西、内蒙古、天津、河北)及び非重点的な省・市・自治区の中の感染患者が発生している都市(下記注参照)とする(当館注:出張等に行かれる場合、目的地が医療観察の対象となるかどうかについては、それぞれの末端組織(街道事務所、居民委員会等)に問い合わせれば、確認することができます)。なお、非重点的な省・市・自治区の中の感染患者が発生していない都市から上海に戻る人は、(医学観察ではなく)健康検査の対象となる。
(注)5月14日現在、江蘇省では南京市、南通市、浙江省では杭州市、安キ省では、合肥市、阜陽市、蚌フ市、安慶市となっていますが、現在のところ公表されていません。当館としては、具体的都市名を公表するよう上海市側に要求しています。
(2)中国国外の感染患者発生地域とは、WHOが公表するSARSの域内感染状況がA~Cの段階に達した都市及び地域を基準とする。5月19日現在では、香港(C)、台湾(C)、マニラ(B)、シンガポール(B)。これらの都市・地域から上海に戻る人は、医療観察を受けなければならず、また、これらの都市・地域から上海に来る人は、健康検査を受けなければならない。
2. 医療観察と健康検査の区別について
医療観察は、上海に戻った人に対するもので、観察期間中は外出できない(当館注:外国人で6ヶ月以上上海に滞在し居留証を所持する人も含む)。他方、健康検査は上海に来る人に対するもので、検査期間中の外出は可能であるが、毎日の体温測定及びカード記入等は行わなければならない。
3. 医療観察と健康検査の2週間の期限の理解
医療観察は、上海に戻った人が上海に到着した日から2週間、受けなければならない。但し、上海に戻った人も健康上問題がなければ、2週間以内に上海を離れることもできる。また、健康検査についても同様で、2週間は上限で、上海での滞在期間の長短にかかわらず、2週間の検査が必要との意味ではない。
4. 上海所在の企業が近隣の江蘇省や浙江省の地域等との間で、人の往来や貨物の運送等を行う場合、その企業関係者は上海に戻った後、医療観察を受けなければならないか。
江蘇省や浙江省の中のSARSが未だ発生していない都市や地域から戻る人については、医療観察は行わず、健康検査を実施する。近隣の省のSARSが発生した都市や地域を頻繁に往来する人については、上海滞在期間中、医療観察の対象となる。なお、医療観察期間の2週間以内に上海を離れる必要がある場合には、健康上問題がない限り許可される。
5. 省・市を超えて運送などを行う上海市の運転手等は、上海に戻って医療観察を受ける必要があるか。
非重点的な感染患者発生地域と上海との間を行き来する運転手等については、医療観察を行わなくてもよいが、健康検査は行う。重点的な感染患者発生地域との間を行き来する運転手などについては、その所属企業が宿舎を手配することとし、原則として帰宅させない。帰宅せざるを得ない場合には、その所属企業は運転手等の自宅のある居民委員会に報告し、帰宅期間中は医療観察を受けなければならない。また、医療観察期間中は、家族と隔離される。
6. 上海を通過する人で上海の市街地に入らないか又は上海に来るが宿泊しない場合は、健康検査を受けなければならないか。
外国人又は上海以外の省・市の人で上海を通過するが市街地に入らない場合、又は上海に来るが宿泊せずに直接帰る人は、健康検査を受ける必要はなく、(空)港又は道路の境界で体温測定と健康申請表の記入を行えばよい。