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日本文化講座を実施しました!

 

剣道 武士のスポーツ

 

 

   日本人にとって剣道はとても身近なスポーツです。学生時代に体育の時間に剣道を体験したことのある人、学校に剣道部があった人、子供の頃に剣道を習っていた人、それぞれ関わり方は様々ですが、誰もが見たりやったりしたことのあるものです。

   でも中国の人にとって、袴と防具で竹刀を振り回すこのスポーツは、一体どのように感じるのでしょうか?やはり武士をイメージするのでしょうか?それとも「るろうに剣心」などをイメージするのでしょうか?

 

 

 

   6月19日、当館では、昨年の空手道に次ぐ、日本古来の伝統的なスポーツの紹介イベント、「剣道 武士のスポーツ」を開催いたしました。このイベントの企画は、講師をしてくださった渡邉孝士郎さんとの出会いがきっかけでした。渡邉さんは、今年の3月まで、筑波大学から華東師範大学へ留学し、1年間、上海中学で剣道の先生を務められました。また、渡邉さんは週末になると、中国各地へ赴き、中国で剣道の指導に携わっていらっしゃいました。更には中国の剣道ナショナルチームでもコーチを務めるなど、24歳の若さで中国剣道界を牽引する活躍をされていた方です。今回、既に帰国して筑波大学大学院で研究を進められているお忙しい中、再び上海にいらっしゃって、講演をしてくださいました。

 

                                                                   意外と新しい竹刀・防具の歴史

                                 写真提供:フェリーチェ・ベアト - 横浜開港資料館編『F.ベアト写真集2』横浜開港資料館所蔵

 

 

   今回のイベント名は「武士のスポーツ」ですが、剣道の起源はやはり武士です。武士が誕生した10世紀頃から、正座など武家の礼儀作法や様式が確立し、12世紀頃から本格的な武家社会、そして戦国時代に入り、「剣術」という名前で武士の戦闘術が生まれました。その後、安土桃山時代には現代剣道の元になった「小野派一刀流」が確立し、また、宮本武蔵の「五輪書」や柳生宗矩の「兵法家伝書」など、剣術の指南書も多数書かれています。また、江戸初期には竹刀と防具も発明され、稽古として相手を打つ練習をすることができるようになりました。しかし時代は江戸から明治に移り、「武士」という職業がなくなり、武士が人々から忘れられようとした時、武士の精神、生活や修行方法などを総合的にまとめたのが新渡戸稲造「武士道」と高野佐三郎「剣道」です。これにより、「剣術」から「剣道」となり、礼儀などを重視することから、剣道を教育の現場で活かすようになり、東京師範学校(現筑波大学)などからは優秀な剣道指導者たちが輩出されていきました。

 

 

 

   渡邉先生は言います。剣道には4つの「美」があると。ひとつは「着装」。袴の前面の5つの襞は儒教の教えである「五倫五常」(「五倫」は基本的な人間関係を規律する五つの徳目。「五常」は仁・義・礼・智・信の五つ)をあらわすと言われています。また竹刀についた糸は琴の弦であったと言われています。このように細かい点にさりげない美を追究する剣道の着装、とてもおもしろいです。2つめは「礼法」です。剣道では「礼に始まり礼に終わる」というくらい礼を大切にしています。3つめは「構え」です。手を挙げた構え方は、「火の構え」と言われ、攻撃中心の構えです。心臓のある左胸を前に突き出し、左方手一本で相手を打つ「一撃必殺」の構えです。4つめは「技」です。ご存じ面、小手、胴を打つ技です。これにより勝敗が決まります。

   では実際、試合ではどんな感じになるのでしょうか。

 

            形は防具をつけずに行います(右は北宏志さん)

 

 今回、渡邉さんと一緒にこのイベントに講師として参加してくださった北宏志さんが続いてマイクを取り、実際の試合や稽古の実演を解説してくれました。
 まずは日本剣道形。ここでは竹刀ではなく木刀を使います。「形」と言われるだけあり、動きは遅く実際木刀を体には当てません。しかし形の構えを取っただけで、会場に緊張感が走り、シンと静まりかえります。「エィ」「ヤァ」と独特のかけ声が響きます。形は剣術の頃の伝統が今に残る貴重なものです。

                                                   

黙想!のかけ声とともに印を結びます

 

    次ぎに、防具を着用しての稽古です。その前に、礼、黙想。渡邉先生から一言挨拶があり、また礼。このように剣道は礼を大変重んじます。防具をつけたのは上海の精鋭剣士4人。中には女性もいらっしゃいました。とても凜々しいですね。
    実は剣道はとてもシンプルです。技である面、小手、胴を取ればポイントを獲得できるのです。でも、例えば五段の渡邉さんと初段の人とでは求められる基準が違ってきます。段が上の人は、同じ「面」でも、かけ声、姿勢、勢いなどが高いレベルでないと一本と見なされません。ですので、有段者はどんどん目標が高くなっていきます。

 

                                    かけ声も審査のひとつです                       迫力のある面!

 

 さぁ、試合稽古のはじまりです。大きなかけ声と体と竹刀のぶつけ合い、面、小手、胴をめがける剣士たちの迫力がすごいです!観客の皆さんもびっくりでしたが、すかさずカメラを手に試合を収めていました。
 北さんの進行のもとに進められた防具をつけての試合稽古でしたが、これからはお待ちかねの体験コーナーです!さぁ、竹刀で面を打ってみませんか!!のかけ声にすぐ4人が「はい!」と応えてくれました。中には。。。。

 

 

 こんなにかわいらしい小朋友剣士も!皆さんはじめて持つ竹刀でしたが、なかなか決まってますよね?その後は、次々と「やってみたい!」の声が。何人も参加してくださいました。ありがとうございます!


 

 剣道という日本古来のスポーツ、最近では日本のアニメやドラマの影響もあり、中国でも徐々に人気が高まってきています。今回、大変多くの方がこのイベントに参加してくださったのも、その人気を裏付けることになりました。また、渡邉さんがこれまでコーチをされてきた中国のナショナルチームは5月に日本武道館で開催された世界剣道選手権大会ではじめてベスト8まで勝ち進みました。人気だけでなくその実力も確実に高まってきている中国の剣道。きっとこれからもどんどん広がりを見せることでしょう。期待しています!最後に渡邉さん、北さん、そして参加者の皆さん、本当にありがとうございました!

 

 

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