1.18日付けの新華社の報道によれば、江西省衛生庁は18日、同省の女性が鳥インフルエンザA(H10N8)に感染し、死亡したことを確認しました。同報道等による感染の状況は以下のとおりです。
「感染者は、江西省南昌市在住の73歳の女性。患者が先月30日に南昌市内の某病院に入院した際には重症肺炎と診断された。同女性は、高血圧、心臓病、重症筋無力症等の基礎疾患を持ち、免疫力が低下していた。また、生きた家禽を扱う市場での曝露歴があった。同患者は、12月6日に呼吸困難となり、ショック死した。すべての濃厚接触者には現時点では特段の異常は見られていない。本件に関し、南昌市は病例サンプルを検査したところ、鳥インフルエンザウイルスAを検出し、中国疾病予防コントロールセンターで更なる検査を行い、H10N8ウイルスと確定した。専門家のとりあえずの分析によれば、本病例は個別の案件であり、このウイルスがヒトに感染し、更に伝染するリスクは低いと述べている。」
なお、米国ミネソタ大学の感染症研究政策センターが17日(米国時間)に配信したニュースによれば、同大学の鳥類疾病の専門家であるデビッド・ハルバーソン氏は、「H10N8型がこれまでヒトに感染したケースは記憶にない」とコメントしています。
2.また、広東省の衛生当局の発表によると、広東省では今月12日に深センの活家禽市場の環境サンプルから鳥インフルエンザA(H7N9)の陽性反応が検出されたことに続き、15日に東莞市、16日に陽江市でそれぞれ鳥インフルエンザウィルスA(H7N9)のヒト感染症例が1例ずつ確認されております(患者は何れも重症)。
3.WHOが10日に公表した評価レポートでは、鳥インフルエンザA(H7N9)については、ウイルスの宿主などについて不明な点が依然多く、家禽類では症状が現れないことから、今後も同ウイルスが中国、そしてもしかすると周辺国に検知されずに広がる可能性があることを指摘しています。また、今後も散発的にヒト感染が起きる可能性はある旨指摘し、これまで5家族で複数者の感染があったことも指摘する一方、継続的なヒト・ヒト感染が起きていることを示す材料はないとし、地域で集団感染が発生する可能性は現時点では低いとの評価をしています。
4.現時点において、中国本土における鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者数は、上海市、安徽省、江蘇省、浙江省、北京市、河南省、山東省、江西省、福建省、湖南省、河北省、広東省の2市10省の計143名(上海33名、安徽4名、江蘇28名、浙江51名、北京3名、河南4名、山東2名、江西6名、福建5名、湖南2名、河北1名、広東4名)となり、そのうち、死者は46名(上海16名、安徽2名、江蘇8名、浙江10名、江西1名、河南1名、湖南1名、河北1名、場所不明6名)となりました。
※上記感染者数には、臨床症状がなかった北京市の男児の感染例1例が含まれています。
5.かかる状況を受けて、在留邦人の方におかれては、以下の諸点にご注意願います。
(1)専門家は今後も散発的な発生が継続すると予測しているところ、今後の感染動向に十分に注意する必要があります。また、重症化する症例が依然として多いことは、地方の一部の下級医療機関において、早期発見、早期治療が十分に機能していないことを示唆しています。
(2)発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。医療機関受診の際の注意点等については、当館ホームページの「鳥インフルエンザ関連情報」ページに掲載しておりますのでご確認ください。
http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/life/toriinfuru-j.html
(3)不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、手洗い、うがい等を励行し、衛生管理に十分注意してください。また、十分な栄養、睡眠をとり、平素からの体調管理に気をつけてください。
(4)外出する場合には、人混みはできるだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。中国内で出張、旅行等をされる場合は、現地の医療事情や感染発生状況等を確認して計画を立てるようにしてください。
(5)その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。(http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/influ_qa.html)
6.当館では新たな情報が得られ次第、当館ホームページ等でお知らせします。
(参考ホームページ等)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2850
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)http://www.forth.go.jp
○高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
○鳥インフルエンザA(H7N9)に関する世界保健機関(WHO)の情報
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/index.html
○国際獣疫事務局(OIE)
http://www.oie.int/eng/en_index.htm