12日、上海市衛生局と上海市外事弁公室はSARSに関し、各国総領事館に対する説明会を開催しました。概要を以下の通り掲載いたします。
1.12日現在7名の感染患者(うち1名は死亡)、13名(邦人1名を含む)の感染の疑いのある患者(Suspect case)がいる。
2.上海市の医療体制の充実
4月のWHO調査報告のアドバイスに基づき、市内の対策を以下の通り強化。
(1)市内の疾病コントロールセンター(衛生服務中心)を110カ所から全市の約500カ所の医療機関に拡大し、報告などのデータベースのオンライン化
(2)院内感染や感染防止技術の改善
(3)指定病院を新たに6カ所指定し、呼吸器、防護服等の必要な医療機器、設備を整備(万が一SARS関連で入院患者が増加しても対応できるようにするため。)
(4)どんなに感染力の強いウイルスも扱える実験室を3カ所整備
(5)市内の衛生監督員を2000名以上配備
(6)ホットライン「95120」の回線を増設、英語、日本語でのサービスを開始。
(問)上海で今後爆発的に感染が拡大すると見ているか?
(答)広東、香港、北京、それから北方の各都市へと伝播していった経験を踏まえ、万が一を考えて万全の対策を採っている。
3.5月8日の上海市通告の解釈
(1)4月23日に発布した「8項目の規定」を具体的に実施するための通告で、上海に戻ってきた人には2週間の医療観察、上海を訪れた人には健康検査を義務づけることを主たる内容とする。上海市では5月上旬に感染地域から訪問した人から相次いで4人の感染患者が発生したことを重く受け止め、人的往来を一層厳しくチェックすべきであるという基本的考えで発布したものであり、外国人の方にもご協力をお願いしたい。通告を運用する末端組織にはルールが行き渡っていない面もあり、これにより様々な不便がもたらされることにご了解頂きたい。
(問)「上海に戻ってきた人」とは?
(答)外国人であれば、上海に6ヶ月以上滞在し居留証を所持している人を指す。
(問)上海へ戻った人に対しては2週間の医学観察措置が採られているのに対し、上海に来る人に対しては健康検査のみと緩やかな対応になっている理由如何。
(答)本来は、上海市外から来る(戻る)全ての人に対して2週間の医療観察を求めるべきであるが、上海に居住していない人に対して、上海市がそこまでの対応を求めることは国内法上困難であり、やむを得ず対応に差が生じている。
(2)この通告の指す「感染患者発生地域」とは、国内については中国衛生部が発表している感染患者が発生している省(江蘇省、浙江省、安徽省を含む)、海外についてはWHOにより感染が深刻化しているとみなされている地域を指す。しかし、上海市は華東地域の経済、物流の中心であり、全ての人的往来をこの規定により制限することは不可能であることも承知しており、一定の柔軟性を持って運用している。例えば、重点地域としては北京、広東、山西、内蒙古、天津、香港、台湾としているが、その他の地域については、江蘇省では南京市、浙江省では杭州市のように、市レベルで複数の感染患者が発生している地域については、それ以外の市(例えば、昆山、無錫、蘇州、嘉興)よりも厳しくチェックしている。
(問)上海に住み昆山にある工場に通勤するような場合には、通勤は不可能になるのか?
(答)この通告が運用され始めてまだ時間が経っていないため、まだ柔軟な対応ができておらず、高速道の省境の料金所等で長時間を要することもある。事前に「健康連絡カード」を準備するのは勿論、時間的余裕を持って出かけることで当面対処いただきたい。中長期的には、企業が自己管理できる前提で何らかの便宜的措置を講じることも検討している。また、物流業等に対しては、運転手に対する厳しい行動制限を前提に、トラックに対する優先ゲートを設ける等の措置を検討しているところである。
(問)上海市外から戻り、医療観察を受けている人で健康上問題ない場合、2週間の観察期間を終えていなくても中国国内の他の地域や海外に行くことができるか。
(答)できる。但し、戻ってきた場合には改めて2週間の医療観察措置を受けることになる。
(問)医療観察期間中はどういう対応が採られるのか、家族とも隔離されるのか。
(答)原則として、自宅での待機となる。毎日地元の担当者と衛生部門の監督員が自宅を訪問し、体温チェック等を行い、健康問診票と外出記録表を提出することになる。可能であれば1人でいるべきであるが、条件が許さない場合には、家庭で家族と接することはやむを得ない。