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世界保健機関(WHO)専門家チームによる上海の感染状況調査結果

平成15年4月25日
在上海日本国総領事館
25日、世界保健機関(WHO)専門家チームは、上海の重症急性呼吸器症候群(SARS)の 感染状況の調査結果について、当地総領事団に対し説明を行いました。それによると、上海市の SARS感染状況に関する監視システム、報告システム、防疫体制、感染患者に対する 看護システム等が十分機能している、また報告漏れや虚偽報告の事例も見つからなかった 旨指摘しました。

WHO専門家チームによる会見の概要は以下の通りです。

1. 感染状況
 現在、感染患者2名、疑い例18名とする当局の発表を変更する具体的データーはないが、疑い例の定義に関する変更を、22日に行い、新たな定義による見直し作業が現在行われて おり、その結果によると、疑い例の数字が増加する可能性があると示唆しました。

2.調査概要
(1)対象
 解放軍関係の医院(長海医院)を含む市内10箇所の医療施設を、5~30分間の直前通知で抜き打ち的に調査を行った。その結果、患者数の隠蔽等の形跡は見られなかった。
(2)調査項目
・報告システムの機能状況
 十分機能しており、報告漏れ、隠蔽などは見られなかった。 
・感染患者等の調査
 感染患者2名及び疑い例の内9名の患者、これまでに隔離された34名について実地調査した。患者に対する看護、隔離及び医療従事者の感染防止対策等は十分に 行われていた。上海市内には数百の病院があるが、これらの病院に関する関係書類へのアクセスも十分に出来た。
・診断基準の厳格な適用についての検討
 中国衛生部が4月16日に公布したSARSの診断定義の厳格な適用について、 市当局と協議を行った。上海市当局は、22日より、疑い例の定義の内「発症前10日以内にSARSの地域内感染地域へ旅行、又は居住した者」の「地域内感染地域」の概念を厳格に適用することにしたため、これまでSARSの疑いが晴れた患者についても遡って再調査することになった。この結果、現在発表されている感染患者2名、疑い例18名の数字が増加する可能性は排除出来ない。

3.質疑 
Q:なぜ感染者がこんなに少ないのか?
 先ず、SARSの危険性に対する認識が高まる前に、感染者が上海に流入しなかったことが幸いした。更に、広東、香港や北京の経験を参考にし、感染者の大量発生前に厳格な予防体制を 敷き、感染者からの2次感染を防止する十分な施設と準備体制を敷く時間的な余裕があったことが 幸いしたと言えよう。医療関係従事者の意識、訓練も行き届いている。

Q:感染の防ぎ方は?
 狭い空間で換気が悪く、人が混んでいる等の危険が高い場所へ行く際はマスクをつけることが望ましい。戸外で空気の流通がよく、人が混んでいないところではマスクは 必要ない。戸外運動は、寧ろ抵抗力を付ける観点から望ましい。

Q.:今後の感染拡大の可能性は?
 1600万人の大都市で市外からの流動人口も多い。万一感染者が流入し、発病後も隔離されないような事態が発生すれば、他地域のような大量発生が起こる可能性は 否定出来ない。
 上海市の現在の予防措置は相当厳格に実施されているものの、完璧な予防は困難であり、感染者を如何に迅速に隔離するかは、市民の協力が不可欠である。