(1)症状
38℃の高熱、呼吸器症状(咳・息切れ・呼吸困難感)に加え、頭痛、下痢等を伴うことがあります。
(2)病原
新種のSARSウィルス(コロナウィルスに属する)に感染することによって引き起こされます。
(3)感染経路
主に至近距離の飛沫感染や体液等の接触感染により感染すると考えられています。香港では下水道の排水管を介した感染がありましたが、空気や上水道を介した感染の報告は今までのところありません。
(4)経過・致死率
潜伏期間は2~10日間と考えられています。発熱から3~7日で呼吸困難が出現することがあります。快方に向かう場合には発症後6~7日で回復します。致死率は4~6%前後とみられます。
白血球が肺の細胞を壊すことが重症化の原因であり、子供は免疫力が未発達なので重症化しにくいという考えがある。医学雑誌によると子供の罹患率は低い傾向にある。
(5)現段階での治療法
抗ウイルス剤等による治療効果も報告されていますが、現段階では対症療法が中心となっています。適切な医療機関において早期に治療すれば、大半は回復に向かっています。
2.現状
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・4月22日から24日までWHOの視察が上海市で行われています。・疑似患者はWHOの疑い例(suspect)に相当します。 ・邦人の感染報告はありません。 |
3.日本政府の主な対応
(1)危険情報を発出しています(4月24日現在)
○広東省、北京市、山西省、香港:「渡航の是非を検討して下さい。」(不要不急の渡航については延期をおすすめします)
○内蒙古自治区、マカオ:「十分注意して下さい。」
(2)広東省、北京市、香港から本邦に到着する飛行機便の乗客に対し、質問票及び健康カードを配布しています。疑わしい症状を有する方については、健康相談室で医師の相談を受けられることをお勧しています。
(3)上海発の飛行機便で本邦に帰られた際にも、疑わしい症状がある方や、不安な方は相談することができます。
4.日常生活における注意事項
SARSウィルスは咳、痰、尿、糞便等に含まれている可能性があります。多くは飛沫感染により感染します。このため飛沫感染に対する一般的な予防方法が大切です。
(1)頻繁な手洗いと、手洗い後の使い捨てペーパーの使用及びドライ乾燥等を心がける
(2)うがいの励行。うがいはのどの粘膜を滑らかにすることによってウィルスが付着しにくくなる
(3)手洗いをしない前には手で、口、鼻、眼等に触れない
(4)飛沫感染を防ぐためにマスクを使用する際には、清潔なマスクを使用し、装着時には必ず手を洗う
(5)外出時には人混みを避け、不用意に病院に近寄らない
(6)室内および室内の空気は清潔に保つ(埃に原因菌がついて空気中を漂うことがある)
(7)休息、規則正しい生活を心がけ、抵抗力をつける
(8)たばこはできる限り控える
5.上海地区で疑わしい症状があった場合
(1)疑わしい症状があった場合には、早急に最寄りの医療機関で受診することをお勧めします。先ずは、掛かり付けの病院やクリニック等で受診して下さい。上海の日本語が通じる病院やクリニックは血液検査や胸部レントゲン検査が行えます。
(2)上海市衛生局はSARSに関する問い合わせホットラインを設置しています。
ホットライン電話番号は 5228-5500(24時間対応で、日中には日本語も可)
(3)最寄りの医療機関でSARS感染の疑があると診断された場合には、外国人は主に「肺科医院」(政民路507、復旦大学の北側)に搬送されることになります。14階奥に特別室があり、そこに収容されます。英語を話す医師はいますが、日本語を話す医師・看護師はいません。その際は別病棟に勤務する日本に留学経験のある医師が通訳します。肺科医院に拠りますと入院時のデポジットとして20,000人民元が、1日あたりの入院費として検査の内容により差がありますが1,000~2,000人民元が必要です。
(3)SARS感染の疑いが有る場合、伝染病防治法に基づく処置が執られます。家族や同僚に感染の疑いがあると診断された場合、自宅等で隔離を求められることがあります。感染の疑いが出た住居やオフィスに検疫担当者が消毒に来ることがあります。
(4)肺科医院に入院された場合、至急、総領事館に通報頂くよう協力お願い致します。
(電話 6278-0788 夜間等1390-162-8463、1390-164-5423)
(5)感染の疑いが有ると判断された場合、飛行機への搭乗を拒否されることがあります。その場合、当地で治療を受けることになります。
6.次のホームページを閲覧されることをお勧めいたします
在上海日本国総領事館 http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/
(華東地域に於けるSARSの最新の情報について、入手次第順次掲載致します。)
在中華人民共和国日本国大使館 http://www.cn.emb-japan.go.jp
WHO(英語) http://www.who.int/csr/sars/en/
CDC(英語) http://www.cdc.gov/
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
上海市衛生局(中国語) http://www.smhb.gov.cn/
7.日本語が通じる医療機関(順不同)
(1) 博愛医院国際医療センター(日本人常駐の病院、入院施設有)
淮海中路1590号 博愛医院8階 6431-5107
1380-174-2001、1350-183-6738(24時間日本語対応)
(2) 靜安区中心医院国際医療センター(病院、入院施設有)
西康路259号第2ビル10階 3222-0949(24時間日本語対応)
(3) 上海浦東森茂診療所(日本人医師常駐のクリニック:救急対応不可)
浦東新区銀城東路101号森茂大厦3階 6841-0513、6841-0385
(4) AHS逸仙会病院
本院:楓林路180路中山医院外科楼1階 6416-7374(9時~18時)
(5) ワールドリンク(日本人助産師常駐のクリニック:救急対応不可)
古北名都城 虹許路788号名都城30棟1階 6405-5788
(6) 桜花クリニック(クリニック:24時間対応)
延安西路2558号上海総工会療養院内桜花別墅2号館2階 6209-9820