1.香港、台湾のメディアの6日の報道によれば、5日、中国の衛生当局から香港、台湾の各衛生当局に対し、浙江省での新たな鳥インフルエンザA(H7N9)の感染例の発生について通報があったとされています。同報道によれば、感染の状況は以下のとおりです。
「新たな感染者は、浙江省嘉興市在住の64歳の女性。農業に従事し、生きた家禽を扱う市場に出入りしていた。10月30日に発病し、今月4日に感染診断が確定した。現在の病状は重く、入院して治療を受けている。」
2.浙江省では先月15日、23日に各1名の感染が確認されており、直近1ヶ月で3例目の感染例となります。また、右23日の感染例は今回の感染者と同じ嘉興市で発生しています。なお、4日に感染診断が確定したとされる今回の感染例については、浙江省衛生庁やその他の中国衛生当局による対外発表は、7日午前時点では確認できていません。下記5.の制度変更により、感染例に関する情報公開の手法に調整があった可能性もありますが、詳細は不明です。
3.広東省衛生庁の発表によると、同省東莞市において、今月5日に鳥インフルエンザA(H7N9)の感染例が確認されました。同発表によれば、患者は3歳男児、東莞市常平鎮袁山貝村在住。患者は現在東莞市人民院で隔離治療を受けており、これまでのところ患者は発熱も無く症状は軽度であるとされています。また、7名の濃厚接触者の3名にインフルエンザのような症状を確認したが、検査の結果、7名とも鳥インフルエンザウィルスA(H7N9)は陰性であったとしています。
4.現時点において、中国本土における鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者数は、上海市、安徽省、江蘇省、浙江省、北京市、河南省、山東省、江西省、福建省、湖南省、河北省、広東省の2市10省の計139名(上海33名、安徽4名、江蘇28名、浙江49名、北京3名、河南4名、山東2名、江西6名、福建5名、湖南2名、河北1名、広東2名)となり、そのうち、死者は45名(上海16名、安徽2名、江蘇8名、浙江9名、江西1名、河南1名、湖南1名、河北1名、場所不明6名)となりました。
※上記感染者数には、臨床症状がなかった北京市の男児の感染例1例が含まれています。
※中国国家衛生・計画生育委員会の最近の発表では、省・市別の感染者数、死亡者数の発表を行っていません。したがって、上記の死亡者等の数字は、各省の衛生部局がそれぞれ発表したことが確認されたものを集計して算出しています。
※10月30日に中国疾病予防コントロールセンターのウェブサイトに公表された感染状況では、中国国家衛生・計画生育委員会がWHOに報告した同時点での感染者数は137名(注)、死者45名、回復88名とされています。
(注:10月11日に同委員会が発表した9月末時点の感染者数は134名であり、今回の発表の数字(137名)との差が3名ありますが、10月に感染が確認・公表されたのは、浙江省での感染2名のみです。この1名分の差が生じている背景は必ずしも定かではありませんが、30日発表の感染者数が「実験室で感染診断が確定した感染者の数」とされているところ、同委員会がこれまで(臨床症状がなかったため)感染者数としてカウントしていなかった北京の男児の感染例1例が137名の内数として含まれている可能性があります。)
5.中国国家衛生・計画生育委員会は、4日、先月28日に発出した法定伝染病に関する通知の内容を発表しました。同通知によると、鳥インフルエンザA(H7N9)は、11月1日以降、中国の法定伝染病の「乙類」に指定され、ました。(当館注:関連報道によれば、中国には39種類の法定伝染病があり、危険性が高い方から、「甲類」2種類、「乙類」26種類、「丙類」11種類に分けられる。「甲類」は感染確認後2時間以内に専用ネットワークへの報告が必要である一方、「乙類」、「丙類」は24時間以内の報告を求められる。)また、同通知は、11月1日以降、鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者数のデータは、「乙類」伝染病の統計に統合することも明らかにしています。
6.かかる状況を受けて、在留邦人の方におかれては、以下の諸点にご注意願います。
(1)今回の浙江省の感染例は、先月15日の感染確定例以降3例目となる浙江省での新たな感染例であり、中国の専門家も今後も散発的な発生が継続すると予測しているところ、今後の感染動向に十分に注意する必要があります。
(2)発熱、咳などの呼吸器感染の症状が発症、特に高熱の発症や呼吸困難の症状が見られた場合は速やかに医師の診断を受けるようにお願い致します。医療機関受診の際の注意点等については、当館ホームページの「鳥インフルエンザ関連情報」ページに掲載しておりますのでご確認ください。
(3)不用意に鳥・家畜に近寄ったり触れたりせず、手洗い、うがい等を励行し、衛生管理に十分注意してください。また、十分な栄養、睡眠をとり、平素からの体調管理に気をつけてください。
(4)外出する場合には、人混みはできるだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がけてください。
(5)その他、感染地域滞在の注意事項については、「海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A」を御参照ください。(http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/influ_qa.html)
(6)また、4月26日に行われた賀来満夫東北大学大学院医学系研究科教授による講演相談会の資料を当館ホームページに掲載しております。鳥インフルエンザA(H7N9)の特徴や予防の知識などの情報が多数含まれておりますので、是非ご活用ください。
7.当館では新たな情報が得られ次第、当館ホームページ等でお知らせします。
(参考ホームページ等)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03ー3580ー3311(内線)2850
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
○海外渡航者のための感染症情報(厚生労働省検疫所)http://www.forth.go.jp
○高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究所感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
○鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
○鳥インフルエンザA(H7N9)に関する世界保健機関(WHO)の情報
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/index.html
○国際獣疫事務局(OIE)
http://www.oie.int/eng/en_index.htm