2月27日、当館及び上海日本商工クラブの共催により、在留邦人対象の「鳥インフルエンザ」説明会が開催されました。講師は杏林大学医学部 感染症学教室 小林治講師が担当されました。同氏の承諾を得ましたので、会場での配布資料を本ホームページに掲載させていただきます。また当日の質問内容は次の通りです。
なお、ご質問、ご相談がありましたら、当館(代表番号:6278-0788)の医務官又は領事班にご連絡下さい。
1.Q:鳥インフルエンザがヒトに流行した場合、抗ウィルス剤であるタミフルが有効であるとの説明であったが、現在ベトナムやタイでは死亡率が50%以上であるが、どの程度まで死亡率が下げられるのか?また発病後36時間以内に服用を始めるとの説明であったが、以前は48時間と聞いている。この違いは何なのか。
A:タミフルは確かに有効であるが、死亡率の改善については正確な数値はない。ベトナムやタイでもタミフルが使われたが、末期になってからであった。それでは有効性は無い。36時間と説明したのは海外であるという事情で限られた医療機関でしか薬が手に入らない可能性があり早めに動いて欲しいということで、本当は48時間であるが、36時間で説明した。
2.Q:インフルエンザ判定キットが無いような奥地に出張し発熱した場合の対処法は。
A:マラリアは予防内服を多用したために耐性の病原体を作ることになった。同様なことを防止する観点で、ヒトインフルエンザや鳥インフルエンザに関して、予防内服は薦められないが、もしインフルエンザのような症状がでた場合、判定できるまでの間に服用を開始する必要があるため、薬を持っていくことを指示することはあり得る。いずれにしても医師と相談して処方する様にして頂きたい。
(なお当地日系クリニック日本人医師より、家族がインフルエンザを発症し、翌日が休診日になっており、判定できないとの理由で、1例だけ予防内服を処方したとのコメントあり。)
3.Q:中国における鳥の感染地域はハイリスクなのか
A:生きた鳥や、糞などに直接接触しない限りハイリスクとはいえない。
4.Q:熱がたまたまあった場合には出国はできるのか
A:(総領事館より)判定は空港の検疫をしている医師の判断。どの程度厳格に発熱のチェックが行われているか情報収集も必要である。
5.Q:日本では、もし鳥インフルエンザがヒトに流行した場合、初年度には人口の約1/4の約3000万人が罹患する可能性があり、3000万人分のタミフルをストックする必要があると聞いている。上海でも在留法人の1/4分のストックはあるのか。
A:(日系クリニック日本人医師より、)上海でそのような大量のストックはない。日本でもインフルエンザの流行時に足りなくなって1日2カプセル、5日分必要なところ、3日分で対処したこともあった。それでもかなり効果はあった。もし必要になった時はそのような対処もする。症状などでケースバイケースであるので、パニックにならないことが大切である。