5月12日,近代における日中文化交流研究の第一人者である復旦大学日本研究センターの徐静波教授を当館の多目的ホールにお招きして,1920年代の上海における日中文化人の交流に関する講演をしていただきました。
翻訳家としても著名な徐先生には,老若男女を問わずファンが多く,募集期間が短かったにも関わらず,当日は約100名もの方々にご参加いただきました。
講演中の徐先生。軽妙な語り口で参加者を100年前の上海にひきこみます。 |
「魔都」と呼ばれた19世紀初頭の上海は,様々な国の文化が入り交じり,新しい文化が生み出された,まさに「魔都」という名前に相応しい,妖しい魅力を持った都市だったと記録には残されています。その魅力に惹かれて,日本からも多くの文化人が上海に運び,時には居を構え,その魅力の中で,新たな作品を完成させていました。
本講演会では,まず18世紀半ばからの上海と日本との関わりについて,史実に基づいた説明が行われた後,上海で活躍した二人の日本人作家,村松梢風と谷崎潤一郎の上海での活動や交流について,それぞれお話しいただき,その二人の目を通した上海の姿を二人の作品を手がかりにご説明いただきました。
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皆さん,熱心に徐先生のお話に聞き入っておられます。 |
1時間を超える講演だったにも関わらず,特に冗談を挟みつつ,テンポ良く進められたためか,非常に短く感じられた講演会となりました。その後の質疑応答にも熱心な参加者から手が挙がり,多くの質問が寄せられましたが,一つ一つの質問に丁寧に対応される徐先生の姿勢が非常に印象的でした。
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100年前の今日も,ここ上海では,日本と中国の文化人や経済人が交流を行い,お互いを理解して,その交流から新しい文化が生み出されてきました。過去から現在に繋がってきた交流を,私たちは未来にも残していかなければなりません。
「人と人との真の友情は,国や地域,人種によって阻害されるものではない」
100年前に谷崎潤一郎が述べたその言葉を,再度心に留めることができた素晴らしい講演会でした。
徐静波先生,ありがとうございました!
当館は,これからも様々な分野で日本文化を紹介していきます!