「書は体を表す」といわれるように,文字には深い意味が込められています。そんな文字の魅力を描き続けてきた日本を代表する装丁家,グラフィックデザイナーの平野甲賀。一度見たら忘れられない(過目不忘)平野先生の文字の魅力のいっぱい詰まった展示会が5月5日,上海保利時光里で開幕しました。
![]() |
![]() |
開幕式では,当館から加藤副領事が挨拶を行いました。 |
![]() |
平野先生と呂敬人先生,姜慶共先生,陸賚先生との座談会。当館の海さんが司会者を務めました。 |
開幕式の後は,平野先生と中国国内著名なデザイナー,呂敬人先生,姜慶共先生,陸賚先生をお招きし,座談会を行いました。平野先生は,「一つひとつの文字が舞台で演じ,スポットライトが当たるように描いている。そのために大切なことは,漢字を伝統から学び,そして一つ一つの文字に愛情を注ぎながら描くことである」とお話されました。
呂先生は,「漢字の一文字一文字に深い意味が込められている。そして何千年も伝わってきたこの漢字を使い続けている国が,中国と日本である。」と述べられました。
![]() |
会場の観客は満員でした。 |
「作品の良さが周りに認めてもらえないとき、どうすればいいか?」という会場からの質問に,平野先生は,「デザイナーである以上、人に認められないといけない。しかし自分の個性を潰すこともできない。周りの声に耳を傾けながら,オリジナルを作り上げていくことが大切」だと語りました。呂先生は,「今日のデザインは,デザイナー自身の異なる物の見方,考え方から生まれたものである。」と述べられ,多くの若手デザイナーにエールを送りました。
また,今年80歳になられた平野先生は,「『ためらい』は『老人の力』でもある。」と述べられ,自分がしっかりと自分自身のことを考えて行動し,そうして作り上げたものが人々に感動を与えることができる,と語られました。
一つひとつ深い意味の詰まった「活きている」文字。そして漢字という文化でも深く結ばれた日本と中国。文字の魅力と,漢字文化で結ばれた日中両国の絆を感じることのできる平野甲賀展は7月1日まで開催されておりますので,ぜひ皆さん揃って足をお運びください。
※当館では日本紹介事業を多数実施しています。当館HPの新着情報や微信も定期的にチェックしてみてください。