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3月11日,当館多目的ホールで譚晶華・上海外国語大学教授に,中国における日本文学翻訳史と翻訳をめぐる諸問題についてご講演いただきました。
中国では,村上春樹,東野圭吾を代はじめとする日本の小説が非常に人気ですが,日本文学の中国語翻訳は清代以降,さかんに翻訳されてきました。近現代作品のみならず,『枕草子』『源氏物語』などの古典文学も多く翻訳されており,日本文学は比較的身近なものに感じられているのではないでしょうか。
講演会の前半は,中国において翻訳されてきた日本文学作品をご紹介いただきました。後半では,中国のノーベル文学賞受賞作家の莫言の各国語の翻訳者を取り上げ,翻訳に伴う課題が提示されました。翻訳者によって原作に対する姿勢も異なります。誰が翻訳するか,作家の翻訳者に対する姿勢などにより,作品の面白さが読者に伝わるかどうかが指摘されました。原作が面白くなくても,翻訳がよければ一流の作品になる場合,一流の原作であっても翻訳がよくないために二流以下の作品にもなってしまうという莫言の対談を引用して,翻訳の影響力についても触れられました。よい翻訳をするには,外国語よりもまず母語を鍛えなければならないという点も指摘されました。
ユーモラスにお話される譚教授。会場に笑いが起こることありました。 |
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メモを取ったり,PPTを写真に撮ったりしながら話を聞く参加者もいました。 |
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日本文学研究者であり,翻訳家,日本語教育者でもある譚教授の講演に,多くの質問が寄せられました。譚先生はひとつひとつの質問に丁寧に答えていらっしゃいました。参加者には翻訳に関心が高い人も多く,譚教授のお話は非常に勉強になりました。翻訳を通して読む外国文学についてより深い理解が得られたのではないでしょうか。
譚晶華教授,華東理工大学出版社の皆様,ありがとうございました!
当館は今後も日本文化の魅力を伝えられるように,イベントを企画してまいります。