12月17日午後,当館多目的ホールにて,日中国交正常化45周年記念事業「弓道は,永遠に, 求道 ―― 体感する「道」の世界」を開催しました。冬の晴れ間の中,多くの皆さんが日本の弓道の実演を楽しみに会場に足を運んでくださいました。
今回のイベントは,当地にて活動を行っている上海正鵠会のご協力により開催に至りました。2014年に立ち上がった正鵠会ですが,わずか3年の間に男女併せて50名もの会員が参加する団体に成長しました。何故ここまで多くの方々が弓道に心引かれ,「道」の世界に足を踏み入れたのか,そのヒントが今回のイベントで明らかになるはずです。
イベントは会場に入った瞬間から始まりました。道着や着物を着こなした会員の皆さんが来場者の皆さんを出迎え,一気に弓道の世界に引き込まれます。
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まずは,スライドを使用しながらの弓道の紹介が行われました。日本語の中に数多くの弓道に由来する言葉があることや,武士にとって最も重要なものは馬よりも槍よりも弓矢であったことなど,日本人の生活の中に弓道というものが密接に関係していたことを紹介しつつ,京都三十三間堂の通し矢についての説明に移ります。日本人でも知る人ぞ知るミニ知識など,軽妙な語り口に笑いが起こりながらも,興味深い話に皆さん熱心に聞き入っていました。
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続いて,会員3名の方による巻藁演武が行われました。静寂の中,美しく無駄のない動きから放たれる矢の音は,まるでその静けさを切り裂くかのようで,会場からは思わずため息が漏れました。
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後半は,体験と交流の場として,大きく3つのブースに分かれ,来場者の皆様それぞれが興味関心のあるブースで体験または交流を行いました。衣装を着用し,道具を持って写真を撮影できるブースでは,四苦八苦しながら衣装を着用した後,友人同士笑顔で写真を取り合う姿が見受けられました。実際に弓を射る体験ブースでは,会員の方より弓の持ち方から引き方,姿勢まで丁寧に教えてもらいながら,実際に防護ネットに向かって弓を射る体験をすることで,「道」の世界を瞬間的に体感しました。道具に触れながら会員の方と自由に交流するブースでは,日本で弓道をやったことがある方など,かなり深い知識を持っている参加者もいらっしゃったようで,活発な質問や交流が行われていました。
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最後に正鵠会の呉会長より,締めの演武を行っていただき,万雷の拍手の中,イベントは無事に終了いたしました。
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柔道,剣道という比較的メジャーな武道とは異なり,弓道をこれまで直接目にしたことがある方は決して多くはないでしょう。一方で,近年は国際的な展開にも乗りだし,ひとつのスポーツ競技としての側面も有するグローバルな活動も行われています。しかし,やはり弓道は,確固たる「真」があり,「善」を大切に,「美」を目指す武道です。それは上海正鵠会の皆さんの今回のイベントに対する真摯な向き合い方にも現れていました。
改めて,上海正鵠会の皆様のご協力に御礼申し上げます。
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今後とも当館は,さまざまな分野で日中文化交流を推進するイベントを開催していきます!