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11月1日夜に,日中国交正常化45周年認定事業として,日本語研究者の杏林大学の金田一秀穂教授を当館多目的ホールにお招きして日本語をテーマとする講演会を開催しました。平日の夜にも関わらず,日本語を学ぶ高校生や大学生を含めて180名ほどの方に参加いただきました。
金田一秀穂先生は,「浮き沈み」「社会に出る/入る」などの身近な語句を取り上げ,中国語と日本語の語順や表現の違いから,中国人と日本人の考え方の違いまで説明しました。また,人や社会は変わり,言葉も変化していて,むしろ変化しない言葉は死んでいるけれど,変わらないものもあり,その例措定は漢字を挙げました。中国の孔子や老子などの古代の思想家,杜甫や李白や陶淵明などの唐時代の詩など,現代日中両国民が共通して読むことができるのは,世界でも珍しいことであるとお話されました。
後半では,上海外国語大学の皮細庚教授にもご登壇いただき,金田一先生と対談をしていただきました。皮先生はご自身が躓いたという例文を紹介し,日本語表現の難しさを語っていただきました。皮先生は,金田一先生のお父様である著名な日本語研究者の金田一春彦先生の『日本語』を翻訳され,このたび華東理工大学出版社から出版されました。
言葉は私たちの考え方や生活を反映するものであり,言葉を学ぶことは私たちの文化を考えることにつながっていくのですね。
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日本語では「犬猫」と言うが,なぜ犬,猫の順番なの?普段使っている言葉でも,疑問を抱くと,謎に思えてしまいます。 |
こんなに多くの人の参加がありました! 日本語がわかる人も多かったようです。会場ではしばしば笑いが起こりました。 |
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金田一先生と皮先生の日本語専門家同士の対談は,日本語の難しさがテーマでした。日本語を母語としない人から見た日本語の表現は謎が多いです。皮先生ほどの日本語の達人であっても,理解するのが難しい語句もあるそうです。 |
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質疑応答の時間では,日本語で質問する人も。日本人に中国語を教えている男性から,「日本人は(日本語にはなく中国語にはあるそり舌音等の発音を)漫画ややくざ映画の中では,日常の日本語の会話の中では発音できるのに,中国語を勉強するときになぜ発音できなくなるのか」という質問に対して,金田一先生のお答えは,「日本人は恥ずかしがり屋だから,普段日本語にはない音を発音するのが恥ずかしい」。意外な答えでした。
講演会が終わった後は,金田一先生と皮先生は参加者に取り囲まれ,質問攻めになっていました。参加者はいつまでも興味が尽きない様子でした。
金田一秀穂先生と皮細庚先生,素晴らしい通訳をしていただいた郭侃亮先生,ありがとうございました。ご参加いただいた皆様,ありがとうございました。
当館はこれからも様々なテーマで日本文化を紹介していきます!