当館より横井裕総領事が、中国側より中共江蘇省常委・無錫市委・楊衛澤書記、無錫市環境保護局・劉亜民局長、宜興市環境保護局・劉建良局長他が出席しました。
本計画は、無錫市・宜興市の農村に日本の先進技術を活用した高度合併浄化槽を設置し、汚染原因となる生活排水中のリンや窒素を処理することにより、深刻な汚染が進む江蘇省太湖の水質改善に貢献するものです。




(1)件 名:「江蘇省無錫市恵山区鉄路橋村高度処理型合併浄化槽設置計画」
被供与団体:江蘇省無錫市環境保護局(署名者:劉亜民・局長)
供与金額:95,698米ドル(約651,706人民元)
(2)件 名:「江蘇省宜興市丁蜀鎮浦南村高度処理型合併浄化槽設置計画」
被供与団体:江蘇省宜興市環境保護局(署名者:劉建良・局長)
供与金額:95,685米ドル(約651,619人民元)
2.案件概要
本計画は、江蘇省無錫市鉄路橋村及び宜興市丁蜀鎮浦南村において、生活排水中のリン、窒素等に関する排水処理基準を満たし、太湖の富栄養化を防ぐため、日本製の高度処理型合併浄化槽(処理対象約50人以内/槽)を各1台整備するものである。
また、浄化槽管理責任者の養成トレーニング及び住民向けの啓蒙セミナーにより住民の環境保護意識の向上が見込まれるほか、日中企業の提携による浄化槽の生産を行うことが計画されており、本計画は、周辺地域への浄化槽普及を誘引する役割も期待される。
3.案件の社会的背景・ニーズ
江蘇省南部に位置する無錫市及び宜興市は、中国五大湖の一つで長江流域住民の生活用水源である太湖に面し、古くから水郷地帯として米や淡水魚といった農水産物を豊かに産出する地域である。
近年、周辺地域の急速な都市化、工業化に伴い、生活排水や家畜排水、工業排水が未処理のまま河川に流入し、近隣河川の富栄養化及び汚濁化が深刻となっている。その結果、2007年5月には太湖でアオコが大発生し、緑色に変わった湖水が悪臭を放ち、太湖の生物が死滅する公害が起こった。その結果、無錫市内では水道水が使えなくなり、中国のほか、日本を含め世界中で太湖の深刻な汚染状況が知られることとなった。
汚水源のうち、特に各地に多数分散している農村からの生活排水については、リンや窒素が未処理で垂れ流されており、重大な汚染要因となっている。そのため、最もアオコ被害の深刻な無錫市及び宜興市では、日本のNPOと提携して、日本における優れた環境改善実績を学び、太湖の水質改善のために様々な取組みを行ってきた。
その結果、両市は、農村の生活排水処理には高度処理型合併浄化槽を適用することが効果的との日本の研究成果に基づいて、日中両国の協力により、中国にとって喫緊の課題である農村の汚水処理問題を解決し、環境保護に適応した新農村建設を行うことを目的として、草の根援助により、日本製の高度処理型合併浄化槽を導入することとした。