華東地域の事業環境について
令和2年2月9日
在上海日本国総領事館経済部
1.全般的な状況
2月3日の中国共産党中央政治局常務委員会議においては,経済活動の回復に向けた決意も示されています。今後の中国は,「湖北省」と「その他」,「感染予防」と「経済回復」の間でバランスを保ち,粘り強く対応していく時期に入り,この結果として,相反する両要素の中間に位置する社会的措置が講じられることが予想されています。
一方,武漢が封鎖された1月23日から2月6日で2週間が過ぎ,湖北省を中心に新規症例がピークアウトを迎えることが期待されつつも,統計上は僅かながら変化の兆しはありながらも明確な好転は見受けらません。このため,中国は引き続き感染の拡大局面にありながら,元々予定されていた2月10日からの企業活動の再開時期を迎えることになっています。
これに関連して,中国は2月初頭から,各地において交通・外出規制や在宅勤務の指導等の措置を矢継ぎ早に導入しております。つまり,表向きは「都市封鎖」や「操業延期」という形は取らないながらも,事実上,ビジネス環境に制限を与えることで,経済活動を過度に急速回復させることが感染拡大の悪化につながらないよう,試みているものと思われます。不透明ながらも意図的なスロースタートと言えるでしょう。
【参考1】中国共産党中央政治局常務委員会議
http://politics.people.com.cn/n1/2020/0203/c1024-31569255.html
【参考2】「封閉式管理」について
各地において小区(アパートやマンション単位で仕切られたエリア)等で外部車両進入制限や,来訪者登録管理を強化する等の「封閉式管理」を実施しています。これは,外出制限措置のようなものですが,武漢などで行われている「封城」(都市封鎖)と異なり,居住地と外部との間での移動を完全に禁じるものではありません。
2.日系企業の状況等
日系企業も2月10日以降,事業再開に向けて動き出す予定でしたが,本格再開に向けた課題は多く,全般的には2月17日以降の本格再開を睨んで慎重に走り出す構えとなっている模様です。企業によっては事業活動再開のための準備を10日の週から始めるという声も聞かれています。
また,春節休暇の長期化による人員不足等により物流インフラが完全には機能していない状況にあり,港湾で貨物が滞留している状況が発生している様子です。人員と貨物の両面でのビジネス環境が回復するまでには,一定の時間が必要だと思われます。さらに,事業再開にあたり書類にする煩雑な事前申請を当局が求める動きも広がっており,かつ,当局側の審査スケジュールも不透明なところが多いことから,これらも各企業にとっては新たな足かせとなっています。これらの状況を踏まえれば,企業の事業活動の本格的な再開は,いずれにせよ17日の週以降にならざるを得ないのではないかと思われます。
なお,中国政府は,海外への団体旅行及び一部の個人旅行商品の販売を禁止しており,また,それに重ねて一般論としても中国国民に対して当面の間は海外に出ないように呼び掛けていますので,訪日インバウンドに対する影響は避けられない見通しとなっています。
3.通関及び物流の状況等
現時点で,各方面に照会した限りにおいて,華東地域においては,通関そのものが完全に止まっているという状況は発生していないと思われます。他方で,コロナウイルス対策による春節期間の延長に伴い,通関業者が営業していないなどの事象が発生し,港湾における物流が滞留しているという声が多く聞かれます。2月3日から港湾での荷物の受渡しが始まったものの,2月9日までの滞留費用を免除する政策の影響も有り,受取が進んでいない模様です。
航空貨物の通関についてはスムーズで有り停滞していないという意見が多くなっていますが,代理業者の業務がストップし滞留しているというケースもあるようです。また,10日の週の上海向け便の航空貨物の空きスペースは既に少なくなっているとも聞いております。
これら以外に,受取後の貨物の配送についてドライバー及び車両不足が起きている模様ですので,通関後の状況についてもご留意ください。
なお,企業の自社社員向けマスクは救援物資扱いとなり,優先的に通関処理が行われるはずですが,券面が一般物資となっていると,逆に通関に時間がかかるケースがあるようです。
4.その他
「たびレジ」を登録することにより,外務省より旅先の(あるいはビジネスで関係がある土地の)安全情報をメールサービスで受けとることが出来ます。また,滞在中に緊急事態が発生した場合,在外公館が出す緊急一斉通報を受けることができます。大規模な事件・事故・自然災害等緊急事態が発生した場合,登録された電話番号,宿泊先を基に緊急時の連絡が行われますので,まだ登録がお済みでない場合には,是非ご検討ください。(長期滞在される場合は,管轄地総領事館に対して「在留届」の提出をお願いいたします。)なお,在上海日本国領事館から発信している情報は,以下のURL から確認頂けます。
【たびレジ】
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html
【在留届】
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/taizai/index002.html
【情報ページ】
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000978.html
【参考】アリババグループからの申し出
武漢始め中国各都市においてマスクや医療器材等の物資の不足が懸念されている状況に対し,今般,アリババグループより在上海日本国総領事館に対し,以下案内を日系企業の皆様にお知らせしてほしいとの依頼ありましたところ,ご連絡致します。なお,お問い合わせは直接下記連絡先にお願い致します。
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アリババグループは,疫病対策・支援強化を行うべく一連の措置を開始しました。
(1)10 億元の医療物資を供給する特別基金を設立
(2)阿里菜鳥は,各配送会社と連携してグローバルなグリーンルートを開通し,各医療防護用品の配送を最優先・最速で送達が可能
つきましては,日本の友人の皆様にも協力していただければ幸いです。窓口は以下の通りです。
【日本製薬関連企業-買付相談窓口】
○天猫輸出入事業グループ日本招商担当王喆氏(中国語・日本語)
+81-80-4055-7555 zhe.wang0828@alibaba-inc.com
○AliJapan Japan MD Center 劉耘岐氏(中国語・日本語)
+81-80-4088-6019 yunqi.liu@alibaba-inc.com
【日本企業-寄付・物流通関相談窓口】
○阿里菜鳥物流国際業務部傅玉敏氏(中国語・英語)
+86-139-1690-0211 yumin.fym@cainiao.com