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髄膜炎の流行
(安徽省蕪湖・単湖・合肥・安慶・除州など、江蘇省南京など)

平成17年2月2日
在上海日本国総領事館
1.1月31日、中国衛生部は流行性髄膜炎が中国中部地域で多発し、1月中に16人が死亡したとして全国に予防対策の強化を求める緊急通達を出しました。それに先立つ同月29日、当館管内では安徽省衛生庁が、同省蕪湖・単湖・合肥・安慶・除州などの学校で、局地的に流行性髄膜炎の患者が発生していると発表しました(その時点で既に5名が死亡)。また、隣接する江蘇省の南京でも患者が発生しています。患者は、15歳以下の小児や幼児が大部分です。

2.髄膜炎は、その原因として細菌・ウィルス・真菌(カビ)・その他によって引き起こされます。中国全土で髄膜炎の患者は、2001年は2250人、2002年は2551人、2003年は2535人、2004年2698人発生しています。この90%以上は普通一般の髄膜炎を起こす細菌・「髄膜炎菌」によって引き起こされましたが、その「髄膜炎菌」の中でも更に細かく分類された「A群・髄膜炎菌」と呼ばれるものによりました。
今回の髄膜炎はやはり細菌・「髄膜炎菌」によって流行していますが、「A群・髄膜炎菌」とは異なる「C群・髄膜炎菌」に属します。このため、一般的な髄膜炎ワクチン(A群・髄膜炎菌に対して有効)は効果が無く、同ワクチン接種者でも感染する恐れがあります。

3.感染しやすいのは、今回の流行で見られているように15歳以下の小児です。症状としては、発熱・頭痛・嘔吐・意識障害・けいれんなどです。髄膜炎菌による場合には風邪症状が先行することもあり、重篤な髄膜炎までに至らずにそれで治ってしまうこともあります。

4.髄膜炎は一旦発症すると怖い病気で、未治療で有ればほぼ100%の死亡率です。治療を行っても死亡率は10%に達し、救命し得ても麻痺・けいれん・難聴などの後遺症を合併する確率も高く治療は一刻を争います。安徽省や南京など、患者発生地に近いところにお住まいの方々で上記の症状が現れたら、早急に病院等で診察を受けるようにして下さい。治療には、抗生剤を用います。

5.一旦発症すると怖い髄膜炎ですが、髄膜炎菌自体の感染力は弱いものです。部屋の換気を十分に行い、日頃から規則正しい生活をするなど抵抗力を高め、飛沫感染が主なので人混みなどは避けるようにするなどの予防に心懸けて下さい。
参考までに中国衛生部が発表した髄膜炎の予防対策は下記(注)の通りです。

6.今回の髄膜炎(C群髄膜炎菌)に対しては、A群の他にC群髄膜炎菌に対しても効果がある「4群混合多価ワクチン」が有効です。中国全体では十分量が生産されていないようですが、安徽省には重点的に配られているようです。

注) 
中国衛生部が2月1日に発表した、今回の髄膜炎予防のための5つの対策。
1.早期の発見・治療に努める。
2.患者の看病をしたなど患者に密接に接触した場合には、予防的な治療を行う。
3.これまで髄膜炎が流行していなかった地で流行が見られたら、15歳以下の小児に直ちに予防接種を行う。
4.髄膜炎の流行地では、集会など人が集まることを避ける、患者へのお見舞いを避ける、人混みの中には入らない。学校や託児所で流行が見られれば、閉鎖・休校などの措置を取り、緊急で予防接種を行う。
5.流行地では組織的に消毒を行う。